著作権法が禁止する行為は権利者に無断でコンテンツを複製等する行為です.
権利者に無断でコンテンツを視聴することを現行の著作権法は禁止していません.
著作権のことをコピーライトという理由はまさにここにあります.
しかし良く考えてみるとコンテンツを複製する理由はコンテンツを視聴するためです.
コンテンツを複製してもコンテンツを視聴できなければ、コンテンツを複製する意味がありません.
それにもかかわらず著作権法はコンテンツの無断視聴を禁止せず、コンテンツの無断複製等だけを禁止しています.
著作権は理解しにくい
著作権法が保護するのは価値のあるコンテンツです.
そのコンテンツを保護するのであれば、本来ならコンテンツの無断視聴を禁止するのが直接的な方法のはずです.
しかし誰がコンテンツを視聴したかを把握することはできません.
著作権法が無断視聴を禁止していないのは、禁止したくても人の視聴行為を把握することができないからです.
コンテンツを無断で視聴するためには、その前段階の行為として、コンテンツを無断で複製したり、譲渡したり、送信したりすることが行われます.
視聴行為を把握できなくても、視聴の前段階で行われる複製や譲渡や送信の行為なら把握することはできます.
そこで著作権法は無断で視聴する前に行われる無断複製等を禁止することで、間接的にコンテンツの無断視聴を禁止するという方法を採っているのです.
コンテンツの無断視聴を禁止することは技術的にはできる
コンテンツを保護するはずの著作権法は、コンテンツの無断視聴を禁止できないという致命的な欠陥を抱えています.
たしかにアナログ時代に創作されたコンテンツを見たり聴いたり読んだりする視聴行為を禁止することはできませんでした.
しかしデジタル時代に創作されたコンテンツならコンテンツの無断視聴を禁止することができます.
コンテンツの暗号化
コンテンツを暗号化してコンテンツの無断視聴を防ぐことはコンテンツ保護の一つの理想形です.
暗号化されたコンテンツを視聴するためには暗号を解くキーが必要です.
暗号化されたコンテンツを無断で複製等しても暗号キーがなければコンテンツを視聴できません.
ただし現行の著作権法では無断で視聴する行為を禁止していません.
従ってコンテンツの暗号を不正に解除してコンテンツを無断で視聴することを著作権法では禁止できません.
コンテンツの無断視聴を禁止するための技術を無効にしてしまう行為は不正競争行為として著作権法とは別の法律で禁止しています(不正競争防止法第2条第1項第10、11号).