商品の価格を上げるために商品自体の品質を上げたり、商品に新しい機能を加えたりするこれまでの商品開発も大切です。
しかし商標というブランドを利用すれば、これまでの商品開発とは違った方法で商品の価格をコントロールすることができます。
商品から商標というブランドを取り払ったノーブランド商品は、商標というブランドがないだけで商品自体の中身は同じです。
商品の価格を下げるために使われているノーブランド化という手法の逆を行けば、商品の中身は同じでも商品の価格を上げることができます。
価格を上げたい商品に商標というブランドがついていなければ、商品に商標というブランドを付けます。
価格を上げたい商品にすでに商標というブランドがついているならば、そのブランドとは違うブランドを商品に付けます。
ブランドには人々に安心感をもたらすという効果があります。
ブランドの有無で商品を選ぶ人が少なくなったとはいえ、ブランドがない商品よりもブランドがある商品を選ぶ人は必ずいます。
ブランドを育てるためには商標の使い方にも気をつける
せっかく登録した商標も、使い方を間違えるとブランドが育ちません。
商標の間違った使い方とは、例えば、登録商標を少しだけ変えて使うことです。
登録商標と同じ商標を使わず、書体、色、配置などを変えて使うことがあります。
登録商標以外に書体、色、配置などの外観が類似する商標を使うということは、市場には外観が類似する純正商標がたくさん流通することになります。
このような商標は、模倣業者からみると模倣しやすい商標と見られてしまいます。
模倣品についている商品タグをみると、ひらがなやカタカナが間違っている場合が少なくありません。
「ち」と「さ」、「ワ」と「ク」、「り」と「リ」、「シ」と「ツ」など、日本人がみれば明らかに間違えだとわかるようなミスがたくさん見つかります。
権利者が登録商標と類似する商標を市場に流通させてしまうと、市場には登録商標と類似する純正の商標と、登録商標と類似する模倣商標とが混在することになります。
模倣業者は、書体、色、配置などの外観が純正商標と少しくらい違っていてもバレるはずがないと考えます。
商品タグを模倣するときと同じことが商標の模倣でも起きてしまいます。
このような商標の使い方を続けていると、消費者が純正商標と模倣商標を混同するばかりではなく、権利者も純正商標と模倣商標の区別がつかなくなってしまいます。
ブランドを育てるためには市場から模倣を排除しなければなりません。
商標を正確に使うことによって模倣を排除することができます。