製品の機能を改良し続けることは必要です.
しかし、デザインは新しさを求めずに同じ形を使い続けるという選択があります.
累積的に進歩する技術に対して20年程度の周期で繰り返すのがデザイン.
20年前の技術が良いということはありません.
しかし、20年前のデザインが斬新ということはよくあることです.
デザインは変えずに製品の機能のみを進化させれば良い
知的財産という側面から見ても同じデザインを使い続けることのメリットを見出すことができます.
同じデザインを使い続けていけば、製品のデザインそのものがブランドになります.
エルメスのバーキン、メルセデスのフロントグリル、コカコーラの瓶、ホンダのスーパーカブ.
これらの製品はデザインを見ただけで出所がわかります.
立体商標と意匠の使い分け
製品の出所がわかるほどまでに確立されたデザインに対して、現在の知財制度は、立体商標という最強の武器を与えています.
立体商標が最強の武器である理由は、権利が半永久的に存続するからです.
立体商標以外の特許や意匠は有効期限があるのに対して、商標は更新により半永久的に存続させることができます.
同じデザインを使い続けるための商標
商品のデザインを立体商標として登録したいのなら、その商品のデザインを将来も変更せずに使い続けなければなりません.
スーパーカブにしてもコカ・コーラの瓶にしても、長い間、デザインを変えていません.
モデルチェンジのたびにデザインを変更していくような商品の場合は意匠制度が適します.
関連意匠制度を使えば、最初のデザインを登録し、変更したデザインを最初のデザインに関連付けて登録することができます.
最初に出願した日から10年の間という制限はありますが、デザイン群による意匠権の束を築き上げていくことができます.
使っていないデザインは取り消される
意匠と商標で大きく違うところは、登録になったあとの取消制度の有無です.
商標登録した商品のデザインを変更して使用すると、商標登録されている元々の商標を使っていない状態になります.
商標の場合、登録された商標を実際に使っていないと取り消されることがあります.
デザインを変更するような商品は立体商標には適しません.
まず意匠登録から始める
すでに知られているデザインを意匠登録することはできません.
しかし、すでに知られているデザインを商標登録することはできます.
したがって、新しいデザインを創作したら、まず意匠登録を目指します.
意匠で保護されている間に、そのデザインを存分に周知させましょう.
数年後、デザインを見ただけでどこの商品からわかる程度に周知されるようになったら立体商標の登録を目指しましょう.