著作物を利用するときは著作権者から承諾を得るのが原則です.
一方、著作権者の承諾を得なくても著作物を利用できることもあります.
引用や私的利用のための複製は、著作権者の事前の承諾を得ずに著作物を利用することができる身近な方法です.
引用や私的利用のための複製は簡単に著作物を利用できることもあり、「私的利用」、「引用」を盾に、法律が想定した引用や複製が行われていないことが少なくありません.
簡単に使えそうで、実は使い方が難しい「引用」
「引用」は、著作物を利用するときは著作権者の承諾を得るという原則に対して規定されている例外です.
法律で例外が規定されるときは、解釈が拡がらないように厳格に運用されます.
著作権法に規定されている引用のルールは形式的なものばかりです.
形式的なルールを守れば著作物を引用できることからコピペが横行しています.
引用する必然性があるかどうか
形式的な引用のルールに対して必然性は引用を許容するための実質的なルールです.
引用する必然性とは一体何か.
引用する必然性があると言えるための簡単な判断方法は、その著作物を引用しなければ自分が創ろうとしているコンテンツを完成させることができない、と言えるかどうかです.
引用の必然性という側面から引用の要否を検討してみると、ほとんどのコンテンツが引用しなくても完成させることができるものばかりです.
形式的なルールのもとに引用されたコンテントの多くが、分かりやすいから引用する、コンテンツの作成が簡単になるから引用する、さらには見た目が良くなるからキャラクタを引用するといったものばかりです.
このようなコンテンツは、引用する必然性があるとは言えません.
例えばウルトラマンのキャラクタを引用する場合において、引用する必然性がある、と言えるためにはどのような場合かを考えてみます.
昭和のアニメ史という論文のなかで、昭和40年代に流行したウルトラマンについて記述するとき、その記述のなかでウルトラマンのキャラクタを引用する場合だったら、引用する必然性があると言えます.
形式的な引用ではなく実質的な引用を目指す
引用する文章の前後をカギ括弧で囲む、引用する部分が自分か書いた部分より多くならない、出所を明示する、と言った引用の形式的なルールを満たせば引用できる、という考えでは、巷には必然性がない引用で溢れかえってしまいます.
他人の著作物を引用しようとするときは、実質的なルールである「必然性」があるのかどうか.
必然性がある「引用」こそが著作権法が想定している本当の「引用」です.