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外国商標登録のことを考えて日本で商品を指定しておく

日本だけではなく中国やタイなどの外国に商標を登録する機会が増えてきました.

優先権制度を利用すれば日本の出願日を基準に審査が行われます.

これにより日本の出願日と外国の出願日との間の第三者の商標出願による拒絶などの不利益を回避することができます.

 

優先権の効果を得るためには日本で出願した内容と同一の内容を外国で出願しなければなりません.

具体的には日本で出願した商標と同一の商標で、日本で指定したときの商品や役務と同一の商品や役務を指定して外国で出願する必要があります.

ところが商品や役務の同一性を維持することは簡単ではありません.

日本で指定できる商品や役務の内容と中国やタイなど外国で指定できる商品や役務の内容とに制度上の相違があるからです.

 

日本では包括的な商品や役務の指定が認められています.

しかし中国やタイなどでは包括的な指定はできません.

中国やタイでは商品や役務を個別に指定しなければなりません.

 

さらに日本では同じ商品を多岐にわたって記載することができます.

例えば、「被服」一つをとってみても、「ジャージ製被服」、「ジーンズ製被服」、「デニム製被服」を指定することができます.

このような指定商品をそのまま中国で指定することはできません.

 

日本で指定した商品や役務の内容と同一の商品や役務を指定して中国やタイで出願すると、中国やタイでは認められていない商品や役務の指定を含むことになります.

このような出願は方式審査で補正を求められます.

 

補正をして商品や役務の内容を変えてしまうと日本で指定した商品や役務との同一性が損なわれます.

日本で出願した内容と異なると優先権の主張が認められなくなります.

優先権の主張が認めれなければ、日本で出願した日ではなく、外国で実際に出願した日が出願日となります.

 

この結果、日本で出願した日から外国で出願した日までの間の第三者の出願による影響を受けてしまい、外国で商標を登録することができなくなることもあります.

 

特許の場合は外国の実務を把握したうえで特許明細書を作成しています.

商標においても外国の実務を把握したうえで商品や役務を指定しておく必要があります.

 

なお、国際出願を利用すれば、日本で指定した商品の英訳で中国に出願することができまてしまいます.

しかし中国国内で認められていない指定商品がどのように扱われるのか、また登録された場合の効力はどうなのか、など、とても不安定です.