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冒認出願対策なら商標よりも著作権を登録する

使う予定はないが勝手に登録されると困るのでとりあえず中国に商標を登録しておく.

中国は日本と同じように登録主義を採用しています.

したがって、中国国内で使う予定がない商標でも「将来的に使用する予定がある商標」について予め商標登録をすることができます.

 

中国で製造・販売する事業計画に先立ち、中国で使用する商標を予め出願する.

このような計画に基づいて中国で商標出願する場合は中国商標法の趣旨に合致します.


中国で製造・販売する計画はない.

しかし、第三者に商標を登録されてしまうのは嫌だ.

だから、とりあえず中国で商標出願する.

このような商標登録出願は中国商標法の趣旨と合致しません.

 

現段階では使用する予定はない.

しかし「将来」のことはわからない.

この場合の「将来」とはどれくらいの期間なのでしょう.

中国商標法が想定している「将来」は、出願した商標が登録された後、「3年」です.

 

使用していない商標は取り消される

中国商標法が登録主義を採用する結果、冒認出願対策商標を含めて、実際には使用されていない商標が数多く登録されるという弊害が生じます.

 

このため、中国で商標登録された後、3年間継続して使用されていない商標に対して、不使用を理由とする取消を請求できる制度(中国商標法第49条)が設けられています.

 

中国で製造・販売する予定はない.

冒認出願対策のためだけに中国で商標を登録しておく.

このような場合は、取り消されるリスクがあることを想定しておかなければなりません.

 

冒認出願対策は著作権を使う

中国で商標を出願しておくことは冒認出願対策の基本です.

しかし商標の冒認出願対策は商標登録だけではありません.


登録商標は無効または取消により権利が消滅するという致命的なリスクがあります.

冒認出願対策として出願された商標の多くが、登録後、中国において実際に使用されることなく、ただ形式的に権利が存在しているに過ぎません.


実際に使用されていない商標に対して独占権を付与することは中国商標法が意図するところではありません.
冒認出願対策のために費用をかけて中国に商標登録しても、不使用を理由に取り消されるのであれば冒認出願対策としては役不足です.

 

商標以外の冒認出願対策として効果的なのは、中国版権局に著作物を登録しておくことです.
著作物を登録する理由は著作権を使いやすくするためです.

 

著作権そのものは登録が効力の発生の要件でありません.

第三者の商標の冒認出願があっても、冒認出願前に著作物があれば、その著作物の存在を理由に冒認出願により登録された商標の権利を消滅させるができます.

 

しかし、著作権の存在を理由に冒認出願された登録商標の権利を消滅させる手続きにおいて、冒認出願前に著作権が存在していることを証明する「証拠」を用意することは簡単ではありません.


中国では提出した資料が「証拠」として採用されるためのハードルが高いのです.

したがって、実際には冒認出願前に著作権が発生しているにもかかわらず、それを証明する資料が中国政府が許可する「証拠」として採用されないことが少なくありません.

 

使える「著作権」を用意する

中国政府が許可する「証拠」を用意する最も簡単な方法は何か.

これは中国版権局が発行する著作権登録証です.

 

日本の文化庁に登録した著作物や米国著作権局に登録した著作物でも、ベルヌ条約に加盟する中国において「証拠」として機能させることは可能です.

しかし、外国政府発行を理由に領事認証や公証が要求されることを考慮すると、中国版権局に著作権登録しておくことが理想です.

 

なお商標登録される客体に創作性は必要なく、したがって単なるアルファベットの羅列でも商標登録されます.
しかし、著作権を発生させるためには創作性を必要とし、このため単なるアルファベットの羅列では著作権は発生しません.


冒認出願対策として著作物を検討するときは、単なるアルファベットの羅列ではなく創作性を備えたコンテンツを用意しておく必要があります.