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洋服や家具という実用品を著作権で守る

 

知的財産権が満了して誰でも使えるパブリックドメインになったデザインを施した「ジェネリック家具」.

ライセンス料が要らず、誰でも自由に制作することができるため、低価格で販売することができます.

消費者の側からみると嬉しいことですが、家具メーカの側からみると悩みの種です.

 

家具に著作権を発生させる

「ジェネリック家具」の知的財産はデザインです.

デザインを保護する知的財産権は、出願日から25年で権利が満了する意匠権です。

意匠登録出願の日から25年という短い期間しか独占制作・独占販売がが認められません.

25年では短すぎる、と思うのであれば、意匠権以外の知的財産権が必要になります.

 

デザインを保護する知的財産権は、意匠権以外にも著作権があります.

著作権の保護期間はデザイナーの死後70年です.

意匠登録出願の日から25年という期間に比べると、とても長い保護期間が与えられています.

 

さらに著作権法の世界では、保護期間の延長が常に検討されています.

 

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保護期間が長い著作権を発生させることができれば、「ジェネリック家具」化を先延ばしすることができます.

 

著作権を発生させるための工夫

日本では家具などの実用品のために創作したデザインは応用美術として扱われます.

応用美術は著作権ではなく意匠権で保護するのが原則です.

ところが応用美術であっても実用性よりも美術性に重点が置かれていれば著作権を発生させることができます.

美術性に重点を置いてデザインを創作する、ということが肝心です.

 

最初に創作したデザインが美術性に重点が置かれていれば、そのデザインを実用品である家具に応用しても著作権を発生させることができます.

美術性に重点を置いてデザインを創作するというのは、一品制作を目的としてデザインを創作するということです.

 

洋服のデザインにも著作権

洋服も工業製品として量産されるものです.

著作権が保護する芸術品や美術品などの一品製作品とは対象が違います.

したがって、アパレルメーカが製作したデザインの洋服には著作権が及ぶことはありません.

 

ところが同じ洋服のデザインでも量産を目的としないものがあります.

例えば、デザイン学校.

デザイン学校の生徒さんが製作する洋服は量産されるものではありません.

芸術品や美術品と同じ一品製作です.

 

そうすると、デザイン学校の生徒さんが製作した洋服のデザインには著作権が及ぶということになります.

 

同じ洋服のデザインなのに、アパレルメーカがデザインすると著作権が発生せず、デザイン学校の生徒さんがデザインすると著作権が発生するという不思議なことがおこります.

 

デザイン学校の生徒さんが製作した洋服のデザインをアパレルメーカが採用して販売するという方法なら、アパレルメーカの洋服でも著作権は発生します.

 

工業デザインに著作権を発生させて海外の摸倣から守る

例えば、中国も日本と同じように応用美術は本来意匠権で保護することになっています.

ところが実際には応用美術、すなわち工業デザインを著作権で保護することが少なくありません.


著作権法のよいところは無方式主義であること、そして相互主義を採用していること、です.

無方式主義を採用しているので著作物が完成した時点で著作権が発生します.
意匠権のように出願という手続きは必要ありません.

相互主義を採用しているので、日本人が日本で創作した著作物であっても中国国内で保護されます.
意匠権のように日本とは別に中国で権利を取得する必要はありません.


中国で何ら手続きをしなくても権利が発生する著作権を活用できれば中国企業のデザイン摸倣に対抗することができます.


工業製品を「応用美術」として中国著作権法の保護を受けるためには、日本でも著作権法の保護を受けている必要があります.
(相手国が応用美術を著作権法で保護していれば、中国でも応用美術を著作権で保護することを示した「LEGOブロック事件」が有名です)

 

日本では応用美術は意匠法で保護することになっていると言いましたが、応用美術であっても実用性よりも美術性に重点が置かれていれば著作権が発生します.
著作権が発生するかどうかは最初のデザインがどのような目的で創作されたかどうかで決まるからです.

最初に創作したデザインが美術性に重点が置かれていれば、そのデザインを実用品に応用しても著作権が発生するのです.

この考えに基づけば応用美術であっても著作権の保護を受けることができます.
日本の著作権で保護されている応用美術すなわち工業デザインであれば、中国でも相互主義のもと著作権法で保護されます.