路上で「歌ってみた」をすると演奏権が問題になります.
演奏権とは、自分が作った音楽を他人に無断で演奏させないための権利です.
このため著作権が満了していない楽曲を権利者に無断で演奏することはできません.
侵害にならない演奏
ただし、この原則を通すと何かと不都合が多いので例外規定が設けられています.
営利を目的としない.
通行人からお金をもらわない.
演奏する人に演奏料が支払われていない.
この3つを全て満たす演奏なら例外的に権利者の許諾を得なくても演奏することができます.
営利性の判断は難しい
法律の例外規定は厳格に運用されます.
営利か非営利かの判断にしても簡単ではありません.
定期的に路上演奏をする場合、演奏それ自体は非営利でも広告宣伝効果が生じるので営利性があると判断されるかもしれません.
通行人が払ってくれるチップは絶対に受け取ってはいけません.
演奏代を貰ってはいけません.
管理された「歌ってみた」
ビートルズを生み出したロンドンには地下鉄の駅構内でチップを貰いながら堂々と演奏している人たちがいます.
ビートルズのお膝元だから多めに見ているという訳ではありません.
構内で演奏する人たちはバスカーと呼ばれ地下鉄当局の許可を得た人たちです.
バスカーが演奏できる理由は、バスカーを管理する地下鉄当局がバスカーに代わって著作権使用料を支払っているからです.
You Tubeの「歌ってみた」も管理されている
路上演奏に代わって最近はYou Tubeで演奏する人たちが増えてきました.
You Tubeで権利者の許諾なく楽曲を演奏すると、演奏権の侵害に加えて公衆送信権の侵害になります.
You Tubeの「歌ってみた」が著作権の侵害にならない理由はYou Tubeと著作権管理団体との間で楽曲利用に関する契約が締結されているからです.
管理外の楽曲は許諾が必要
全ての楽曲がJASRACに管理されているわけではありません.
JASRACが管理していない楽曲もあります.
JASRACが管理していない楽曲を演奏する場合は個別に利用許諾を得なければなりません.
楽譜通りの演奏
楽曲をアレンジしてYou Tubeに動画がアップされていることが少なくありません.
楽曲自体はJASRACが管理していても、楽曲をアレンジした「歌ってみた」はJASRACの管理範囲外なので権利者に許諾を得なければなりません.
楽曲通りの演奏、これが著作権侵害にならない「歌ってみた」です.